(9)
奇跡の丘に立つ聖なる伝説の教会
★★★ 2014年4月訪問
感想:
ブルゴーニュの田舎道をドライブしていたら、はるか前方に小高い山が見えてきました。その丘があの奇跡の丘であることは容易に気づきました。なぜならその頂上に巨大な大聖堂が見えるからです。かなり巨大ですので、遠方からもはっきりその存在が認められます。それと周りはのどかで牧歌的な風景が展開している田舎にありますので、余計に目立ちます。非常に神聖で後光のようなものを感じました。僕がドライブしていた時にはいきなりと言いましょうか、突然何の前触れもなく目に飛び込んできましたので、余計にそのような雰囲気を感じずにはいられませんでした。次第に丘に近づくにつれ、大聖堂も大きくなってくると、ああ、ついにヴェズレーの丘にやってきたんだなという感慨がこみ上げてきました。その昔、巡礼の人々が苦難の道のりを経てこのヴェズレーの丘にやってきた時の感動は、如何ばかりかと想像せずにはいられませんでした。サント=マドレーヌ大聖堂には当初マグダラのマリアの遺骨が納められているとされ、また数々の奇跡を起こしたことによって、多くの巡礼者を集めていました。中世の人々にとってこの丘は非常に神聖な巡礼地であり、またとても活気に満ちた宿場町であったそうです。その後、マグダラのマリアの遺骨は実は別の場所に存在することが判明し、この地は次第に人々から忘れ去られ、歴史からひっそりと姿を消します。丘を登るとき小さな家々が寄り添うように立ち並んでいる姿からは、かつての賑わいを想像することはできませんが、遠い昔の聖なる伝説の丘として、何か神秘的なものを感じずにはいられませんでした。 ※この旅の詳細につきましては、旅の随筆、「フランス北半分を走る!【9】」で。こちら
アクセス:スミュール=アン=オーソワからレンタカー
ヴェズレーの丘と教会が見えてきました。
大聖堂に至る坂道。
フランス・ロマネスク建築の最高傑作と言われています。 ファサード部分。
バシリカ式の大聖堂。 塔の部分は遠くからもよく見えます。
サント=マドレーヌ大聖堂内部。 身廊部分。
正面扉上のティンパヌム。 祭壇部分。
サント=マドレーヌ大聖堂後陣部分。
さようなら、ヴェズレーの丘。小さな美しい町でした。
中世ゴシック様式の先駆的な建築スタイル
★★ 2014年4月訪問
感想:
教会や大聖堂に関して、今回の旅では世界遺産でないものも含めて何十件訪問したかわかりませんが、そろそろお腹いっぱいといった感じでしょうか。しかし、このブールジュのサン=テチエンヌ大聖堂はほかのゴシックの教会とは違う特異な建築スタイルを持ち、そんなマンネリ感も一瞬にして吹っ飛んでしまいました。それは通常ゴシック様式の教会は翼廊を持つものが普通なのですが(つまり、教会を上から見ると十字架の形をしている)、このブールジュ大聖堂にはそれがなく、側廊の部分が二重になっていることです。外観は3階建てになっている後陣のチャペル部分に、飛梁が二重に架かるという非常に珍しい形状をしています。この強固な支えの部分により、より高い外壁が可能となり、下に掲載している写真ように3階建ての各階に大胆にステンドグラスを配置できるという構造が可能になったのです。僕が訪れたときはすでに夕暮れ時が近づいており、かなり強烈な西日を浴びて、各ステンドグラスの様々な色彩が薄暗い大聖堂内に飛散し、しかもかなり深い部分まで光が浸透し、独特の雰囲気を醸し出していました。またその建築規模もかなり巨大で、パリのノートルダム寺院に匹敵する規模だそうです。特に西側正面のファザー度部分はフランス最大のものだそうです。ロワール以南に最初に建てられたゴシック様式の教会ということで、これ以降中央の王権の支配や大司教の権威が及ぶよう、並々ならぬ意思をもって建造されたことが理解できるのではないでしょうか。 ※この旅の詳細につきましては、旅の随筆、「フランス北半分を走る!【10】」で。こちら
アクセス:ヴェズレーからラ・シャリテ=シュル=ロワール経由でレンタカー
西側ファサード部分はフランス・ゴシック建築で最大。 あまりにも巨大な大聖堂。高さ43m。
南側バットレス(控え壁)部分。翼廊を持たない斬新な形状。 天井にステンドグラスの光が反射。
現在は修復中です。
3階のステンドグラス。サン=テチエンヌ大聖堂内部にあるステンドグラスの数は他を圧倒していました。
訪れたときは強烈な西日を浴びて、ステンドグラスの光が大聖堂構内により一層飛散していました。
大聖堂内のステンドグラスは古いもので13世紀、新しいものでも16世紀のものだそうです。
ステンドグラスには主に聖書の一節が描かれています。
大聖堂内にある時計。 非常に緻密な機械仕掛けになっていました。
ステンドグラス芸術の極致
★★★ 2014年4月訪問
感想:
このシャルトルのノートルダム大聖堂も非常に特異な形をしていて、まず、正面部分の2本の尖塔が異なり、向かって右側がロマネスクの色合いを残したシンプルな角錐で、もう一方がゴシック様式です。また、焼失して再建された部分も各時代ごと異なっており、その統一性のなさがかえって奇跡的に美しいフォルムを成就したものと思われます。フランスで最も美しい大聖堂と評され、フランス国内の世界遺産で最も早く登録(1979年)されていることからも、その価値の高さがうかがわれます。その外観だけでなく、このシャルトル大聖堂は内装に施されたステンドグラスの美しさでも有名です。内部のステンドグラスは12~13世紀のもので、この時代のステンドグラスがほぼ完全な形で残っているのは唯一、このシャルトル大聖堂だけなのだそうです。特にこの聖堂内最古(1155年頃)とされる、西側正面のバラ窓下3連ランセット窓のステンドグラスは「シャルトルの青」の異名を持ち、これまで僕が訪れた数百を超えるヨーロッパの教会建築の中で、最高に美しい光を放っていました。その荘厳で神聖な光は、人間の目を通して確かに見えはしますが、しかしどのような方法を用いても決してつかむことのできない、しかしながら確かに人間の感性に刻印された、正に「神の光」だったのではないでしょうか。 ※この旅の詳細につきましては、旅の随筆、「フランス北半分を走る!【10】」で。こちら
アクセス:ブールジュからロワール地方経由でレンタカー
シャルトル大聖堂。西側正面。バラ窓と三連ランセット窓。 2つの異なる尖塔。
南側翼廊入り口部分。 翼廊入り口扉上のティンパヌム。
東側アプス。 西側正面バラ窓と3連ランセット窓。
正面扉上のティンパヌム。 内陣高窓のステンドグラス(1225年頃)。
西側ファサードのバラ窓(13世紀)。
バラ窓下の3連ランセット窓は「シャルトルの青」と呼ばれ、聖堂内現存最古のものです(1155年頃)。
北側正面バラ窓とランセット窓(1230年頃)。 南側正面のバラ窓とランセット窓(1220年頃)。
側廊部分。ステンドグラスの美しい光がほのかに差し込んできていました。
祭室で祈りを捧げる信者の方。
訪れたときミサが行われていました。
ロウソクに灯をともす修道女の方。
|