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世界で最も保存状態の良いローマ遺跡
★★ 2014年9月訪問
感想:
プロヴァンス地方の4つの世界遺産は比較的近く固まって存在していておりますので、とても効率よく訪問することができます。ということはゆったりと旅できるわけですが、僕の場合は時間があれば他の訪問地をどんどん増やしてしまいますので、かえって忙しくなるといった按配です。アヴィニョンを中心に世界遺産の他にも近隣の名所を数多く訪れました。その辺のところは旅の随筆、「フランスを走る!後編:南半分、ニースからボルドーまで5000キロ、レンタカーの旅」で詳しくお伝えすることにして、このオランジュの世界遺産ですが、アヴィニョンから車で20分余りと、とても行きやすい場所でした。長らく滞在したコート・ダ・ジュール、プロヴァンス地方の最後の訪問地としても相応しい物件でした。そのもっとも印象的なことはやはりその保存状態の良さです。建造以来約2000年もの年月が経っているにもかかわらず、その外観は非常に美しく、ローマ劇場は現在でもコンサートやオペラなどが開催されています。僕が訪問した時も、入り口に近日中に演劇が催される看板が掲げられていました。またこれまでの著名な歌手や演奏家がこのローマ劇場でパフォームしている写真が飾られていて、壮麗な舞台で感動もより一層高まるのではないかと思いました。凱旋門のほうはローマ劇場から北部方面に車でわずか5分ほどの幹線道路の交差点上にあり、こちらのほうもかなり良好な保存状態でありました。壁面部分にはローマ人とガリア人の戦闘の様子や戦利品の彫刻が施され、当時の様子を垣間見ることができました。この凱旋門の前に静かに佇むと、古代ローマ人の息吹を感じることができるのではないでしょうか。
アクセス:アヴィニョンからレンタカー
オランジュのローマ劇場。
観客席の最上部に立つとかなり高く、周辺の街並みを一望できます。
舞台から劇場壁面を仰ぎ見る。上にある石像はアウグストゥス帝。
今度、「オペラ座の怪人」をやるそうです。 ローマ劇場ファサード部分にあるアーチ。
オランジュの凱旋門南面。ローマ時代からほぼ完全な姿で残っています。
オランジュの凱旋門北面。
ガリア人との戦闘の様子が描かれています。
凱旋門の壁面彫刻はローマ古典主義とヘレニズム文化の影響がうかがわれます。
現存する人類最古の絵画
ショーヴェ=ポン・ダルク洞窟とも呼ばれる、
アルデシュ県ポン・ダルクの装飾洞窟 |
★★★★★ 2014年9月訪問
感想:
ちょうど今年、フランスに新たな世界遺産が登録されたとのことで、ちょっと行ってみました。オランジュからリヨン方面に行く途中、モンドラゴンあたりからアルデシュ川に沿って西方面の山岳部にそれると、非常に雄大でダイナミックな風景が展開していました。その奥深い地域のヴァロン=ポン・ダルク近郊に、ショーヴェ洞窟という約3万2000年前のものと思われる、現在発見されているのものの中では世界で最も古い壁画が描かれた洞窟があります。なんでもラスコーの洞窟壁画よりも1万5000年も古く、クロマニョン人ではなくもっと古い、な、な〜んと!ネアンデルタール人が描いた洞窟壁画だそうです。と言うことはつまり、「人類最古の絵画」ということになります。いや〜、これはすごいですね〜!1994年に発見されたそうですが、なんでもっと早く世界遺産に登録されなかったのでしょうか。現在、洞窟内は立ち入り禁止で、一般には公開されていません。これはラスコーの洞窟が見学者の吐き出す二酸化炭素で劣化が激しくなり、1963年に閉鎖されたことに倣ったものだと思われます。その後ラスコーは本物とそっくりなレプリカ、「ラスコー2」を建設し、そちらのほうを見学させていますので、このショーヴェ洞窟も同様に、この近くのヴァロン=ポン・ダルク郊外に巨大なレプリカの施設を建設中とのことです。この「ショーヴェ2」とも言える施設は来年の2015年に完成予定で、完成の折には是非とももう一度訪れたいと思います。このあとラスコーにも行きますので、その壁画の比較をしてみるのも面白いと思います。
旅の様子は、旅の随筆、「フランスを走る!後編:南半分、ニースからボルドーまで5000キロ、レンタカーの旅」で。
アクセス:アヴィニョンからオランジュ、エゲーズ経由でレンタカー
ショーヴェ洞窟の周辺地域はとてもダイナミックな風景が展開しています。
自然が作り上げた岩の橋。ネアンデルタール人も渡っていたのでしょうか。
岩山の下の部分に横に窪みになった部分を歩いていくと、ショーヴェ洞窟に到達します。
ショーヴェ洞窟がある周辺の岩山。
付近はキャンプ場がありレストランがありました。
ショーヴェ洞窟が今年2014年、世界遺産に登録された事を伝えるレストランの前の掲示板。
ショーヴェ洞窟内の壁画。洞窟内は立ち入り禁止ですので、以下の写真はすべて公式HPより転載。
すでに絶滅した動物も数多く描かれているそうです。
なかなか愛嬌のあるクマ?
二つの大河が交差する絹と美食の街
★ 2014年9月訪問
感想:
ヨーロッパではこの手の街の旧市街地をよく世界遺産に登録しますが、もう、どこもかしこも同じような街だらけで新鮮味もありません。旧市街地がルネサンスの街並だそうですが、この街の特徴と言ってもあまりピンとこず、中世に絹織物で栄え、現在では食通の街といった感じでしょうか。観光地としてもあまりインパクトも印象もなく、世界遺産訪問の感想をいちばん述べにくい物件であることは確かです。単に世界遺産に登録されているからわざわざ来たのであって、ということは結局自分も世界遺産の罠にどっぷりとはまっているわけで・・・。絹の街と言っても、明治時代は良質な日本の蚕を使っていたそうです。美食の街に関して言えば、親戚もここの料理学校に行ってたそうですが、美食の街だなんて言ったって、高い料金を払って美味しいものなんて当たり前のことですし、フランスまたはイタリア料理一辺倒。実際この街にはミシュランの三ツ星レストランは一軒もないそうです。世界遺産訪問以外にもいろいろな国を旅して、食べ物が美味しいだなんて思ったことがありません。特に欧米は食べ物がマズいですが、これが旅の一番の悩みの種です。本当の美食の街って言うのは、安い店でも美味しく、多種多様な料理をその国の人に合わせて上手くアレンジできるところだと思います。そういう意味で世界一の美食の街は東京ですね。
旅の様子は、旅の随筆、「フランスを走る!後編:南半分、ニースからボルドーまで5000キロ、レンタカーの旅」で。
アクセス:ショーヴェ洞窟から田舎道と高速道路を通ってレンタカー
フルヴィエールの丘からリヨン市街とソーヌ川を望む。手前はサン=ジャン大司教教会。
ソーヌ川からフルヴィエールの丘方向を望む。
フルヴィエール大聖堂とサン=ジャン大司教教会。 フルヴィエール大聖堂。
フルヴィエール大聖堂と鐘楼。 身廊から祭壇方向を望む。
サン=ジャン大司教教会。 サン=ジャン大司教教会内部とバラ窓。
サン=ジョルジュ橋とサン=ジョルジュ教会。
旧市街地区のビストロ街。 サン=ポール教会
ライトアップされたサン=ジャン大司教教会(左)とフルヴィエール大聖堂(中央)。
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