AOPY の世界遺産訪問報告
 
















概要:
ドイツ、バイーデン=ヴュルテンベルク州にあるシトー会修道院。1147年、初のシトー会出身のローマ教皇エウゲニウス3世の援助を受けて創設された。13世紀には敷地内に礼拝堂、食堂、診療所、集会所、製粉工場など、小さな村が形成されていった。ロマネスクから後期ゴシック様式まで、様々な建築様式の建物が良好な状態で保存されている。またヘルマン・ヘッセがこの修道院に通ったことがあり、「車輪の下」の舞台と言われている。



























































































































































































































































































































































































概要:
ドイツ南西部、スイスとの国境を接するボーデン湖に浮かぶ島。現在島は本土とつながっている。島内には9世紀から11世紀にかけて造られた3つのロマネスク式教会が残っている。724年に開設されたベネディクト修道院から発達した聖マリア・マルクス教会、美しい天井画のある聖ペーター・パウル教会、「キリストの奇跡」が内部の壁面に描かれた聖ゲオルグ教会。これら3つの教会は南ドイツにおいて宗教的、文化的にも重要な僧院であった。


























































































































































































































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ヘルマン・ヘッセも学んだ由緒ある修道院

マウルブロン修道院の建造物群

★★★  2017年6月訪問

感想:
ブルッフザールでアウトバーンを下り東側の丘陵地帯に入って行くと、シュトロームベルク地方の美しい牧歌的な風景が広がっていました。静寂に包まれたその奥深い秘境の中にマウルブロン修道院はありました。修道院は城壁に囲まれて外界と隔離され、敷地内は意外と広くさまざまな建物が立っていて、小さな村のような感じになっていました。それらは現在レストランやお土産屋さんになっていて、また福音派の全寮制の学校もあるそうです。周辺の風景はいたってのどかで、清らかな水が流れる小川、美しいぶどう畑、緑いっぱいの小麦畑が広がっていました。こういった豊かな自然環境がこの修道院を創設する重要な要素であったのです。シトー会の修道僧たちは水、森林、ぶどう畑、小麦畑などの自然財産を共有することができ、彼らの自給自足の生活は周辺の景観を管理し育成することで成り立っていたのです。僕はこれまで多くのシトー会修道院を訪れましたが、共通して言えるのは質素、祈り、勤労をモットーとしていたことです。このマウルブロンの自然環境の中でその昔修道士たちが畑を耕し、ワインを醸造し、牧畜を営み、そして祈りの質素で厳かな生活を送っていたことが容易に想像できました。特にここの修道院は治水の技術に長けていたそうで、修道院の近くにはTiefer Seeという小さな湖があり、そこから修道院の周りに水路システムを構築しました。12世紀に始まったこの水路システムは、修道院がやがて小さな村のような共同体に発展していく基礎となったのです。
メインの建物となる修道院附属教会は特に入口の部分が独特でした。「パラダイス」と名付けられたこの入口は、美しく立ち並んだ列柱が印象的で、回廊とともに、初期ゴシック様式で最も美しいとされているそうです。また特に目を引いたのは教会のメインポータルと南側の入口の扉でした。1178年に制作されたドイツでも最古の部類に入る扉だそうです。また、修道院内のファウンテンハウス(噴水の家)は多角形の独特の形状をしていて、地上部分には3つの巨大なボウルの噴水がありました。その他にも礼拝堂や修道僧の食堂、寝室など、現在でもかなり良好な保存状態で、当時の厳かな修道僧の生活の様子をうかがい知ることができました。最後に敷地内にはマウルブロン修道院に関する小さな博物館があり、とても興味深い遺品や絵画などで立体的に理解できるようになっていました。このマウルブロン修道院を訪れることによって、謎に満ちた中世の修道院の一端を学ぶことができるのではないでしょうか。

アクセス:ヴュルツブルクからグロースクロッツエンブルク、メッセル、ダルムシュタット、ロルシュ、シュパイヤー経由でレンタカー。


修道院の周辺には美しいぶどう畑が広がっていました。

  
修道院は城壁によって囲まれています。                門をくぐって敷地内へ。


敷地内には様々な建物が建っていました。

  
右はインフォメーション・センター。チケットはここで。          マウルブロン修道院のゆるキャラ?
(●^o^●)


入り口の方向へ振り返る。


敷地内はけっこう広かったです。


建物はレストランやお土産屋さんなどが入っていました。


木組みの可愛らしいおうちが多かったです。


いよいよ修道院の附属教会へ。


修道院附属教会のファサード部分。

  
「パラダイス」と呼ばれる修道院附属教会入口。            素晴らしい文様のメインポータル。

    
ロマネスク式の聖堂。パイプオルガンの方向を望む。反対側の方向にはキリストの十字架が。

    
聖母子像。                       南側の入り口の扉。

  
初期ゴシック様式の美しい回廊。                   天井には花びらのような文様がありました。

  
修道院附属教会内部にあったフレスコ画。右のものはかなり古く、色あせています。

  
修道院の中庭。                             中庭から教会の尖塔部分を望む。
 
    
修道院のランドマークであるファウンテンハウス(噴水の館)。(13世紀ごろ)

    
噴水上の天井部分には赤い色彩が残っていました。 廊下の天井部分。


南側の入り口。右手が教会です。


16世紀ごろの修道院を描いた絵画。今と随分違いますが、教会の尖塔は今と似ていますね。


こちらは19世紀ごろの修道院。

  
博物館にあった修道院内で見つかったコウモリのミイラ。       ヘルマン・ヘッセ、「知と愛」初版本。(1930)


美しい湖に浮かぶ聖なる伝説の島

僧院の島 ライヒェナウ
★★★★   2017年6月訪問

感想:
シュトゥットガルトからアウトバーンをぶっ飛ばして2時間足らず、前方にアルプス山脈のシルエットが微かに現れると、右手にボーデン湖が次第に見え始め、その中に緑豊かな小さな島が姿を現しました。その島の先端に教会らしき建物が見えると、あの島がライヒェナウであることを確信いたしました。現在、島へは連絡道路が作られていて陸続きになっており、背の高いプラタナスの街路樹の道をたどると、一面に美しいぶどう畑が見えて来ました。お天気のせいもあって汗ばむほどの陽気で、湖で泳いでいる人たちもいました。またサイクリングが盛んで、多くの人々が気持ち良さそうに自転車で走っていました。道路の両側には美しい花々が咲き誇っていて、可愛らしい形をした色とりどりの民家がとても印象的でした。とても緑豊かな肥沃な島で、牧歌的な美しい風景の中を駆け抜けていく最高のドライブとなりました。それもそのはず、このライヒェナウとは「豊かな島」という意味で、中世の昔から栄えていたそうです。島内には世界遺産に指定されているベネディクト修道会に属するライヒェナウ修道院の3つの教会があり、ドライブしていても容易に見つけることができました。
ライヒェナウ島に入って最初に見えてくるのが聖ゲオルグ教会で、内部の壁画「キリストの奇跡」は10世紀のオットー時代の作品とされ、この時代の教会装飾画としてはアルプス以北では唯一完全な形で残っている貴重なものです。この壁画は日本の技術協力で復元されたそうです。また聖書やイエス=キリストの生涯、福音書に挿絵を入れた中世最盛期の美術工芸作品、「ライヒェナウの写本」が残っています。ただし、この教会は壁画などの保存を理由に5〜10月までは閉鎖されていて、僕が訪問した時は6月でしたので残念ながら入館することができませんでした。しかし、教会の近くに新しく作られた小さな無料の博物館があり、そこで教会壁画や写本の写真、さらにはそれらの解説を見ることができました。島内をさらに奥に進んで次に見えてくるのが、聖マリア・マルクス教会です。三層のロマネスク様式で、かつてはベネディクト修道院の附属教会であり、一番古い部分はなんと西暦816年に建てられたそうです。裏手にはハーブ園が併設されていて、薬草の栽培も盛んだったそうです。そして最後の教会は島の最も奥にある聖ペーター・パウル教会で、美しいボーデン湖を間近に見渡すことができる最高の場所に立っていました。来る途中に対岸から見えた教会は、どうやらこの教会であったようです。この教会にも小さな無料の博物館が併設されていて、壁画や写本、当時の島の地図などが展示されていました。どの教会もカロリング朝からロマネスク時代の中世初期の宗教的芸術文化をよく伝えていて、当時の南ドイツのみならず、ヨーロッパの文化的中心であったべネディクト派修道院の重要性を理解できるのではないでしょうか。

アクセス:マウルブロンからシュトゥットガルト経由でレンタカー。


いよいよライヒェナウ島に入って行きます。

  
ライヒェナウ島は美しいボーデン湖に浮かんでいます。         インフォメーション・センター。

  
聖ゲオルグ教会。                            5〜10月は閉鎖されています。たのも〜!!


近くにある博物館。無料でした。感無量です!


これが10世紀ごろの聖ゲオルグ教会の壁画、「キリストの奇跡」。


日本の技術協力で復元されたそうです。

  
次なる教会は聖マリア・マルクス教会です。


今更のように世界遺産であることを確認。

  
かつてはライヒェナウ修道院がありました。               美しい花々が咲く修道院の中庭。

    
修道院の塔にある日時計。              修道院に併設されている教会。

    
これまた美しいフレスコ画がありました。         保存状態も良好です。

  
見事なフレスコ画。                           教会内の祭壇方向。

  
中世当時のライヒェナウ修道院。                   教会内の十字架。


聖マリア・マルクス教会の裏にあるハーブ園。


最後の教会は島の一番奥にある聖ペーター・パウル教会です。


いよいよ教会内へ入って行きます。


白亜の壁に美しいフレスコ画の天井。

    
天井からつるされた十字架が印象的でした。     パイプオルガンも見事でした。


この教会も小さな無料の博物館が併設されていました。


聖書の挿絵。


聖書の写本と飾り絵。


中世当時のライヒェナウ島の地図。


聖ペーター・パウル教会からボーデン湖を望む。


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