AOPY の世界遺産訪問報告
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パパとお出かけ



 
 
今日は午前中、レーナさんの友人であるタチアナさんの紹介で、朝のテレビ番組の取材を受けました。タチアナさんはこの国の国営放送のニュース・キャスターで、他国の文化を紹介するため、訪れている外国人を取材しているそうです。そもそも外国人自体が珍しい国の上、東洋人なんて皆無だから視聴者がとても珍しがって面白いのでしょう。とりあえず、日本の茶道について話しました。茶の湯の精神性が、実は日本のエレクトロニクス開発の発想の基盤となったという内容なのですが、即席の上ほんの3分ほどのコーナーでしたので多分よくは理解してもらえなかったと思います。少し反省。この国の印象を聞かれると、マイナスイメージのことしか思い浮かばず、ちょっと口ごもってしまいました。彼女もその辺は察していたのか、笑顔でごまかしてくれた。どさくさ紛れに「この国は美人が多いですね。」と言うと、彼女はゲラゲラ笑っていました。またまた反省。まあ、いつも旅の恥はかき捨てです。それにしてもテレビで外国人が自由に?しゃべれるというだけでも、この国は随分進歩したんだなあと思いました。

  午後からレーナさんは僕とスヴェトラーナちゃんを連れて、トラエツカヤ地区に散歩に出かけました。このトラエツカヤ地区は戦争で破壊されたミンスクの古い町並みを再現したものなのですが、なんだか取ってつけたようなテーマパークというか、そこだけちょっと浮いた感じになっていました。レーナさんによると、姪であるスヴェトラーナちゃんはちょっと不幸な境遇にあると言います。レーナさんのお姉さんであるイリーナさんがスヴェトラーナちゃんのお母さんなのですが、スヴェトラーナちゃんがまだ1歳の頃離婚をして、別の男性と再婚して子供がいるのです。その後、スヴェトラーナちゃんはレーナさんとレーナさんのご両親(つまりおじいさんと、おばあさん)に育てられているのです。この国ではだいたい20歳前後で結婚するそうです。一人では収入も少なく、生活が大変だからでしょう。もちろん共稼ぎです。しかし、子供が出来るともっと生活が苦しくなり、すぐに離婚してしまうそうです。そんなわけで、この国の離婚率は世界第2位なのです。

  これからイリーナさんご夫妻とその子供アンドレイくんと待ち合わせをして、露天市場に行くことになりました。イリーナさんの新しいご主人はこの国では珍しく鞄を取り扱う小さい商店の経営者だそうで、この露天市場にもお店を出しています。この国にはモスクワのグムのような巨大な百貨店はあることはあるのですが、とても一般庶民が気軽に行けるようなところではありません。買い物というとこういった露天市場が一般的です。とてつもなく広い敷地に日用品雑貨、食料品、CD、本などのお店がひしめき合っています。お店と言っても簡単なテントなのですが・・・。彼は若い頃東ドイツのドレスデンで働いたことがあり、とても流暢なドイツ語を話します。彼の乗っているルノーや持ち物などから察すると、この国ではかなり裕福な感じがします。彼によるとこの国ではソニーとかパナソニックといった日本の家電製品を所有することが大きなステータスなのだそうです。しかも、日本で買うよりも値段が高いのです。彼も持っていなくて、ほとんどが中国製ですぐ壊れるとのこと。僕がレーナさんに「彼はいい人だね。」と言うと、彼女は「maybe・・・」と小さく答えたのがちょっと気になりました。アンドレイくんがご両親に甘えている様子をうらやましそうに見ているスヴェトラーナちゃんを見ると、なんだかちょっと可哀そうになってきます。どこの国でも大人の勝手で犠牲になるのは、いつも子供たちなのです。

                       (ミンスクにて 2001年5月2日)



トラエツカヤ地区


戦前の民家を再現した建物が並んでいます。


みんなでお出かけ。


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